2010年9月11日土曜日

海外出産◆出産編④◆響き渡る絶叫

病院での出産話はここまでです☆
タイトルだけ見てたら、出産話なんだか恐怖体験談なんだか、わからん感じになってますね。
およそ出産の慶びからはほど遠いぜ・・・!




お医者さんから、さっそく歩くように言われた私。


「後からでいいから」というのにのっかって、のらりくらりと後回しにしていましたが、フリオから「せめてベッドに腰掛けようよ」と言われ、しぶしぶ彼に手を引かれて起き上がろうとしたら、
私を殺すつもりか・・・!!!!!!
マジ無理だからほんと無理だからほんとに死ぬから!!!!!!
廊下まで、私の絶叫が響き渡りました。

コレ、体験した人はよくわかるかもしれませんが、お腹から下が、もげそうな感じなんですよ。
上半身しか力が入らないんですよ。

後から知ったのですが、これは手術の痛みというよりも、子宮が戻ろうとする痛みのようですね。
涙と鼻水でぐちょぐちょになりながら、でもいったん起き上がったらもう戻れなくて、ようやくベッドに座ります。

そこへ、彼の従兄弟夫妻がお見舞いにやってきました。
陽気なスペイン語でにこやかに彼におめでとうと言い、私には気を遣って英語で話しかけてくれましたが、
「調子はどお?」
と聞かれても、
「最悪です」
としか言いようがない。

もうね、愛想よく国際的コミュニケーションをはかれる状況じゃないですよ。
髪はぼさぼさ、腹は最悪、しかも寝転がりたいけど寝転がれない、かと言って、このまま座っているのも、お腹に負荷がかかって、痛くて仕方がない。

「アァ・・・ウゥ・・・」とベッドの間際で唸る姿は、さながら和風ゾンビか、「リング」のサダコのようだったと思います。
おそらく、従兄弟夫妻には初のニホンジンだったろうに、こんなひどい格好で本当に申し訳ないですが、タイミングが悪すぎです。

「お、起きるの、手伝おうか?」
と、手を引かれましたが、
「Noooooo!!!!!!!!!!!!!!」
ほんとごめんなさい、マジほんの少し動くだけでも死にそうなんです;

気まずい空気の中、フリオだけが上手に話しをしてくれたようで、しばらくして夫妻は帰っていきました。

やはり座ったままの姿勢は厳しく、またフリオに手伝ってもらいながら、なんとか横になります。
もうやだ、絶対起きないもん。歩くのも無理だもん。
半泣きになっているところへ、看護婦さんがやってきました。
「シャワーは浴びた?」
いえ、浴びるどころか、歩くことすら無理です。

フリオが苦笑しながら状況を説明すると、看護婦さんは呆れ顔で、
「隣の病室の人は、昨夜手術して、今朝には自分でシャワー浴びて帰っていったのよ。あなたも歩かないと!」
私はニホンジンであって、メキシコジンじゃありませんから。

子供のようにぶんぶん首を振りながら、「無理っす。起きれないっす」を主張しましたが、通らなかったようです。
病室を出て、しばらくして戻ってきた彼女の手には、一本の注射が握られていました。
「この痛み止め打って、20分したら歩かせに来ますからね」
メキシコの鬼。

そして30分後。
看護婦さんとフリオの2人がかりで、強引に手を引っ張られ、泣きわめく私にも構わず、無理やり立たされ、椅子に座らされました。

魂の抜けた私に、フリオはこんな話をはじめました。

「俺のひぃばあちゃんはさ、小さな集落に住んでいて、医者のところまで行くのに、徒歩で半日かかったんだ。
ある日、集落から集落まで行く道の途中で産気づいちゃって、連れが医者を呼びにいった。
でもすごく遠いだろ。2人がようやく、ひぃばぁちゃんのところへ着くころには、彼女は道端にあるコーラの瓶を叩き割って、自分で腹かっさばいて赤子を取り上げてたんだ。
それと比べたら、これぐらいナンでもないよ」


すごいですね~。
すごいですけど、正直、
そんなのと比べられたくないですね☆

この後、よろよろしながらなんとかシャワーを浴び、というか、お湯に打たれ、またよろよろしながらベッドに戻りました。

二晩目は、さくらのペースを少し掴んだため、なんとか2時間おき睡眠ですみました;
日本に帰りたいと、心底思った二晩でした。

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